野球肘、投げ方による影響とは・・・

先日、当院に通院されている患者さんから

野球をしているお子さんが時々、肘の痛みを訴えるとご相談を受けました。

お子さんは外野手だそうですが、お父さんから見て投げるときに肘の位置が低いのが気になるそうです。

 

野球肘とは

自分の手のひらを上にしたときの肘の内側や外側、下側が投球時に痛みを伴うもので日常生活には支障がないことも多い

内側には、靭帯や手の指や手首を曲げる筋肉の付着部があり、投球時、そこに牽引力がかかり痛みが生じます。

投球の繰り返しで靭帯が緩んできたり、骨が変形してくると外側の橈骨と上腕骨に圧迫力がかかって痛みが生じます。

ひどくなると、軟骨を痛めてしまう場合があります。

 

 

 

 

 

下側は投球時に肘を伸ばす動作を繰り返しているうちに痛みが生じます。

肘の位置が低いとは?

投球するときに正面を向いたときに投球側の肘が肩より上にあると関節が固定され力がロスされずに入りやすくなります。

逆に肩より低いと肩や肘の関節が固定されずにゆるみが生じて力が逃げて、肩や肘にストレスを与え痛めやすくなります。

 

 

肘が下がる原因は、肩の関節に問題がなければ、2つ原因があると考えています。

①投球側の腕を動かすタイミングが遅れている

これを確認するのは、そんなに難しいことではなく、投球時に足(右投げの場合、左足)を上げて前に踏み出して着地したときに投球腕(右手)が頭の横にきて上がりきっているかどうかです。

このタイミングがずれると肘が上がりきる前に次の動作に入り肘が下がったままになります。

また、このタイミングはピッチャーでも野手のスローイングでも同じで絶対です!

 

 

②投球腕を上げていく際に肘から上げようとしていたり、後ろに引きすぎたりしている。

これは、ピッチャーにいえることですがテイクバックから手を上げていくときに

肘から上げようとしたり、後ろ(背中側)に引きすぎると

肩が詰まってきて手が上がらなくなり、結果的に肘が下がってしまいます。

プロの選手のフォームを見ているとそう見えるかもしれませんが肩甲骨の柔軟性などが違い、真似をすると火傷しますのでお勧めしません。

 

痛みが出るとノースロー?

投げると痛みを感じるのであればノースローで別のことをするのをお勧めします。

休んでも痛みを感じるのであれば医療機関の受診をお勧めします。

単純に使い過ぎたから、肩・肘が 痛くなるのではなく、投球は全身運動です。

同じ動作ばかり繰り返していると脚や腰、体幹にも疲労が重なりバランスが崩れてきます。

実は、肩・肘の痛みの原因は別の場所に隠れていることも多いのです。

ピッチャーの場合は投げて疲労していくうちにフォームが崩れてき肘に痛みがおこることも珍しくありません。

良いときと悪いときなどフォームを見直すことも必要だと考えます。(動画で確認すると良いでしょう)

目安として

 ①練習開始前に、1kgのダンベルを肘を伸ばしたまま前、横、 それぞれ肩の関節を90度まで持ち上げ、

痛みがを伴ったり、上げることができなければノースローとする。

②練習開始前に1kgのダンベルを持ち肘の曲げ伸ばしを行う、痛みを伴う場合はノースローとする。

 

ウォーミングアップでの肘のマッサージやストレッチについて

内側の靭帯が緩んでくると、前腕が外に反っていく

練習や試合前のウォーミングアップで肘~前腕をストレッチやマッサージで緩めてしまうと

肘が緩んで不安定になり、投球の際痛みや違和感を感じやすくなるのでトレーニングで締めた方が良い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前腕のトレーニング

指の腹を手のほらに着けるように手を握ります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

握った手を招き猫のように力を入れて曲げ、10秒間キープします。

3回繰り返します

 

 

 

 

 

 

 

 

 

親指を下にして同じ要領で握り手首を曲げます

10秒間×3回

 

 

 

 

 

まとめ

痛みが肘に出てきてもその原因は別の所からということが多々あります。

ちょっとした意識の持ち方やタイミングを変えることで改善することもあります。

自分のフォームを動画で客観的に見てみると良いでしょう。

ウオーミングで緩めすぎるのは、ご注意ください。

 

監修:柔道整復師

小國良成