自律神経と痛みの関係

先日、腰痛でご来院された患者さんに、

腰痛の注意事項をお伝えしているときに

「お風呂に浸かっていますか?」と質問すると

シャワーですますことが多いとのことでした。

 

実は、同業の先生との間でも、

肩凝りや腰痛などでどんなアドバイスを伝えているか?と

いうとお風呂に浸かるというのは鉄板です。

なぜなら、身体を温めて血流を改善するのに安全で簡単に出来るからです。

 

痛みの悪循環

怪我など何らかの理由で一旦痛みがおこると、その理由はどうであれ

その痛みに対して悪循環をおこすことがよくあります。

痛みを感じると体の緊張が高まります。

これは交感神経という、自律神経の中で体の緊張を高める神経が興奮して

そうすると血管が収縮し、筋肉の緊張も高まるためさらに血流が悪化します。

血流の低下が続くと徐々に組織が酸欠となり、老廃物は溜まり栄養素やエネルギーは枯渇していき

組織が障害されていきます。

組織が障害されると発痛物質が産生され、これらが痛みを誘発するようになります。

痛みを感じると交感神経が興奮して…血管が収縮して…と悪循環になります。

痛みがあれば必ずこのような悪循環になるというわけではありませんが、

悪循環に陥ると中々元に戻るのに苦労します。

さらに、必ずしも痛みだけが原因でこの悪循環が起きるわけではなく、

知覚神経の異常興奮(神経の障害)や筋の過緊張(肩こり等)、血管攣縮や末梢の血流障害(糖尿病)などから

この悪循環に陥ってしまうこともあります。

慢性的な痛みには、このような悪循環が起きていることが多いようです。

そこで、この悪循環を改善するのに適しているのがお風呂に浸かることです。

 

お風呂に浸かる3つの効果

    ①温熱効果

温めることにより皮膚の毛細血管や皮下の血管が広がって、血流が改善され老廃物の除去をして疲労を回復します。

  筋の緊張をゆるめ、関節や筋肉が動き易くなり痛みの悪循環を防ぐ効果があります。  

また、睡眠を誘導しやすくなります。

 

ヒートショックプロテイン

ヒートショックプロテインとは、傷んだ細胞を修復するタンパク質のことです。

免疫細胞の働きを戻す力を持っていてお風呂に浸かることにより身体に熱が加わることで

ヒートショックプロテインが発生します。

つまり、お風呂に浸かることにより免疫力を戻します。  

 

②浮力効果

浮力が働き、水中は重力が約10分の1になり筋肉が弛緩しやすくなり

足と腰の負担が減りリラックスしやすくなります。  

 

 

  ③水圧効果

水中の身体に水圧がかかり下半身に溜まった血流が心臓へ返りやすくなります。  

さらに足首の関節を動かすことによりむくみの解消につながります。  

ただし、心臓や肺にも水圧はかかるので注意は必要です。    

 

 慢性的な痛みの原因の一つに疲労があります。

疲労回復のためには、休養と栄養が重要となります。 

休養は睡眠がメインになるわけですが、なかなか熟睡できないと言われる患者さんも多いです、

そこで疲労回復と睡眠を誘導しやすくするのにも

お風呂に浸かることをおすすめしているわけです。

 

      入浴と睡眠

人間の身体は、夜になり体温が低下するとともに眠りにつきます。

入浴によって体温を上げて徐々に低下していくことでスムーズな睡眠へ導きます。  

入浴しないと元々の体温から下がらないため、スムーズに睡眠へと誘導できないので眠りにくいのです。  

自律神経の働き   自律神経は、活動的なときは、交感神経、休んでいるときは、副交感神経が優位となって

シーソーのようにバランスを取っています。  

睡眠は、副交感神経が優位に働くことが大切なので風呂の温度も42度以下にしましょう。

  寝る30分〜2時間前に入浴し深部体温を1〜2度上げるのが理想です。

40度で10分くらいが目安になります。  

逆に42度以上の風呂で交感神経を優位にしてしまうと緊張して

痛みの悪循環を改善することや睡眠導入への効果が期待できませんのでご注意ください。

 

まとめ

緊張や疲労を取ることで痛みの悪循環を防止し

施術の効果も上げるためにも

お風呂に浸かることを実践していただければと思います。

それにより治癒する時間の短縮も期待できます。

 

 

監修 柔道整復師 小國良成