睡眠中のこむら返りの原因と予防
神戸市北区にあります小国整骨院の小国です。
よく患者さんから「睡眠中にこむら返りになって困る」とご相談を受けます。
私自身もたまに、睡眠中にこむら返りを起こして飛び起きることがあります。
起こってしまうと結構痛いですからね
こむら返りとは、ふくらはぎが痙攣(けいれん)したことを言いますが今回は、ふくらはぎにかかわらず睡眠中に体のどこが痙攣しことを意味してるとお考え下さい。
※痙攣(けいれん):意志とは関係なく筋肉に力が入った状態
そんな睡眠中におこるこむら返りでお困りの方に読んでいただき参考にしていただければ幸いです。
こむら返りの原因
実はこむら返りの原因については、完全に解明はされておりません!
現時点では、
筋肉を監視するセンサーの誤作動、電解質異常(ミネラルバランスの崩れ)といわれています。
①筋肉を監視するセンサーの誤作動
筋肉が伸びすぎたり、縮みすぎたりすると体を傷めてしまいますよね
なので、そうならないために筋肉が伸びすぎていないか、縮みすぎていないかをチェックするセンサーが筋肉と腱にあるのです。
これを筋紡錘(きんぼうすい)、腱紡錘(けんぼうすい)といいます。
筋紡錘は、筋肉が急に伸びたのを感知すると情報を脊髄に送り、脊髄から縮めと情報を返します。これを伸張反射といいます。
例えば、ひざのお皿の下(膝蓋腱)を叩くとひざが伸びるのは、この反射(膝蓋腱反射)です。
腱紡錘は、筋肉が伸びるときも縮むときも常に張力の変化を感知して脊髄に知らせています。
脊髄は筋肉の伸びすぎや縮み過ぎを調整するように指令を出します。これを自己抑制といいます。
これらの仕組みは脳で認知し判断をするのではなく脊髄反射で行われ、意識しなくても筋肉や腱のバランスをうまく調整しています。
様々な要因からこのセンサーの働きに異常が起こって筋肉が収縮し過ぎても
腱紡錘が働かず脊髄から筋肉を緩めなさいと指令が出なくなり
自己抑制が働かず筋肉が暴走しているのがこむら返り(つっている)の状態です。
②ミネラルバランスの崩れ(電解質異常)
体内でナトリウム、マグネシウム、カルシウム、カリウムなどのミネラル(電解質)のバランスが崩れると
神経の情報伝達がうまくいかなくなって筋肉の収縮に歯止めが利かなくなりこむら返りが起こります。
病気によるこむら返り(筋肉のつり)
代謝系の病気
糖尿病、腎機能障害、肝機能症
血流が悪くなってミネラルが全身に行き渡りにくくなり、こむら返り(筋肉のつり)がおこりやすくなります。
脊髄系の病気、
腰部脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニア
腰椎のずれや変形、椎間板の変性により神経が障害されると坐骨神経に誤作動がおこり頻繁にこむら返り(筋肉のつり)がおこりやすくなります。
血管系の病気
動脈硬化や脳梗塞、狭心症、心筋梗塞
血流が悪くなるとこむら返り(筋肉のつり)がおこりやすい
甲状腺系の病気
甲状腺機能低下症、副甲状腺機能亢進症
甲状腺ホルモンが減り新陳代謝が衰えてこむら返り(筋肉のつり)がおこりやすくなります。、
薬の副作用
薬の作用によっては、ミネラルバランを崩して、こむら返り(筋肉のつり)がおこりやすくなります。
高血圧の薬、高脂血症の薬、利尿剤、ぜんそくの薬、抗がん薬
これらの薬を服用していて、こむら返りが頻発する方は、薬の影響かもしれません
ただし、勝手に服用を中止せず、医師にご相談してください
睡眠中のこむら返りを予防する寝る前のケア
①水分摂取
水分不足はミネラルバランスを崩してセンサーの誤作動を起こす要因となります。
夏場はもちろんですが冬場ものどは乾いてなくてもコップ1杯の水分摂取をしてから寝ましょう。
夜間のトイレをしたあともコップ1杯の水分摂取を忘れずに!
②マッサージ
ふくらはぎなど筋肉の緊張をほぐして血流を良くしてあげましょう。
ギュウギュウと強くもむことはやめましょう。
足首からひざの裏まで5~6秒かけて両手でさすってあげましょう
③温かくする
季節関係なく、なるべく湯船につかり脚を良く温めてから就寝しましょう
冷えを予防するのに靴下やレッグウォーマーも良いですが、
睡眠の過程では、手や足から汗を蒸散させて深部体温を下げて深い眠りに入ります。
冷え性の人は抹消の血流が悪くて放熱がうまくいかず深部体温が下がらずに寝つきが悪い傾向にあります
そのため、ふくらはぎは温めて爪先は開放しておきましょう。
④爪先を伸ばさない
寝方によって爪先が伸ばされるとふくらはぎの筋肉が収縮した状態になり、
寝返りなどのちょっとしたきっかけでさらに収縮してこむら返りを誘発してしまいます。
重すぎるかけ布団やうつぶせ寝は注意しましょう。
こむら返りを起こした時の対処法
ストレッチ
こむら返りになったら、まずは落ち着いて、つった筋肉をゆっくりと伸ばしましょう。
急に伸ばすと痛みが残りやすくなりますので、ゆっくりと呼吸を吐きながら伸ばしていきましょう。
つった筋肉は収縮してかたくなっています。
すると血管は締め付けられているので血流が悪くなっています。
筋肉を伸ばして少しずつ緩めることにより血流が改善して筋肉に必要なミネラルや酸素が運ばれると
ミネラルバランスが改善され神経の伝達も改善され、筋肉の異常収縮も改善していきます。
このときのコツは「ゆっくり、やさしく、だましだまし」です。
特効薬
芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)
鎮痛作用のある「炸薬」と抗炎症作用のある「甘草」という生薬を配合した漢方薬
服用後、数分で効果があらわれます。
通常は、水や白湯で服用しますが、緊急時は頓服として少量なめるだけでも効果があります。
※甘草は常用すると、高血圧、浮腫み、低カリウム血症の副作用があるので長期の服用は注意が必要ですので医師にご相談ください。
よくこむら返りになる方は、枕元にタオルと芍薬甘草湯の常備をお勧めします。
まとめ
ミネラルバランスが崩れると、センサーの誤作動が起こりこむら返りがおこります。
特に冬場は、冷えの予防と、水分摂取を忘れずにしていければと思います。
また、普段服用している薬(高血圧、高脂血症、利尿剤、抗がん薬)の副作用で起こることもありますので、
頻繁にこむら返りが起こっているならば医師とご相談いただいたらと思います。