変形性ひざ関節症

年齢を重ねてくるとひざの痛みを訴える方が増えてきます。

とくに女性に多く、関節自体も曲がってきたのがわかるようになります。

このひざの関節が変形してくる疾患を変形性ひざ関節症といいます。

歩行時の痛みや立ち座りの痛みなど日常生活にも多大な影響を与えます。

変形性ひざ関節症とは?

ひざ関節を構成する、軟骨や骨などの組織の退行変性や増殖がおこり、

関節の変形をきたす疾患を変形性ひざ関節症といいます。

初めは、痛みや違和感を感じ、水が溜まることもあります。

軟骨がちびてくるので、レントゲンを撮ると関節の隙間が狭くなりひざや脚の形が変わってきます。

症状

痛み、運動制限、変形、筋肉の萎縮、跛行(歩行が乱れる)

痛み がでるとき

動き始め、階段昇降時、立ち座り時

痛む場所

関節の間(関節列隙)、特に内側に多いです。

 また、ひざ関節のみならず、股関節、足関節、足部、腰部にも痛みを訴える場合もよくあります。

 

 

 

 

 

                                      整形外科理学療法の理論と技術より

運動制限

ひざが曲がったままで伸び切らない方が多いです。

逆に曲げるのに制限がある場合もあります。

 

変形

内反変形(O脚)が多く、外反変形(x脚)、膝蓋大腿関節の変形(お皿の裏にある軟骨がちびてくる)

 

萎縮

いわゆるO脚(内反膝)では内側広筋(太ももの内側の筋肉)の萎縮がよくみられます。

 

関節水腫(水が溜まる)

関節は滑膜というもので覆われています。 この滑膜の中は滑液という液体が元々入ってます、

この滑液が水の正体です。

滑液の仕事は、軟骨に栄養を与え老廃物を排出することや関節の軟骨同士の滑りをよくする潤滑油の役割をします。

滑液は関節の動きに伴って滑膜に吸収されたり排出されたりと代謝されます。

しかし、関節を 捻ったり、ぶつけたり等、強い外力が働いたり

何か、ばい菌に感染したり使い過ぎにより軟骨がすり減りそのカスを異物と認識したりすると関節に炎症がおこります。

炎症がおこると代謝のバランスが崩れて滑液の吸収より排出が優位になりどんどんと水(滑液)が溜まって

関節が腫れてくるわけです。 これを関節水腫と言います。

少量であればそのままでも問題なく炎症がおさまれば吸収されていきます。

腫れが酷い場合(滑液の量が多い場合)は痛みを伴っていることも多く、

関節の内圧が高くなり動きも制限されるので病院では水を抜くこともあります。

水を抜くとクセになると言われますがクセになるわけではないですが炎症が治まらないとまた溜まります。

そういう時は使い過ぎには注意し運動量を減らして下さい。

(階段を使わず、エレベーターやエスカレーターを使い、負担を減らして下さい。)

関節を触ると熱感がある場合は冷やすことも有効です。(氷で15分程冷やす)

 

姿勢

ひざの変形により身体全体の姿勢に変化をもたらします。

     整形外科理学療法の理論と技術より   

 

ⓐ脊柱後弯、骨盤後傾ーひざ関節内反・屈曲・内旋変形

年齢と共に多くみられる変形で、 背中が丸くなり、骨盤は後ろに倒れ、ひざは曲がってO脚になり、つま先は内を向きます。

背中が丸くなると骨盤も後ろに倒れて重心が後方になり姿勢保持のために前にいく力が必要になります。

体幹の支持機構が背中が丸くなっていることにより機能せず、股関節も骨盤が後ろに倒れていることにより機能せず、ひざ関節の伸展(太ももの前の筋肉)に過剰な負担がかかってきます。

特に立ち上がり動作の後半で、ひざ関節に大きな力がかかって痛みを引き起こす要因になっています。

ⓑ胸椎後弯、腰椎前彎、骨盤前傾ーひざ関節内反、伸展・外旋変形。

胸は前に曲がり腰は後ろに反ってひざは前に向いていますがつま先は外へ開いている。

年齢により胸椎が前に曲がり体幹の支持機構の低下と重心の後方化が生じます。

それを腰椎が後ろに反り、骨盤が前に倒れて代償します。

骨盤前傾により股関節が内に捻じれ、連動してひざ関節は外へ捻じれます。 

歩行の特徴

変形性ひざ関節症の歩行では、いわゆるO脚の方はひざ関節が外への動揺(ラテラル スラスト)がおこります。 

筋力

変形性ひざ関節症のリハビリでは、大腿四頭筋をはじめ、ひざ関節周囲の筋トレが推奨されています。

筋肉は年齢問わず鍛えれば強くなります。

しかし、すり減った軟骨(硝子軟骨)は再生しません。

関節を動かすたびに摩擦はおこるので磨耗していき、ひざのためのリハビリが軟骨の磨耗を促進してる場合もあります。

筋力強化が痛みを増大させることもあるので注意しましょう。

当院では、まず動きやすい状態になってから、患者さんに合わせたトレーニングをお勧めしています。

治療

当院では、問診により 症状や普段のライフスタイルをお聴きし、 ひざのみならず、お身体を診せていただいて 動きやすくなるように、バランスを整えるように施術していきます。

そして、生活における注意点、セルフケアなどご提案させていただきます。

当院の治療について

 監修:柔道整復師 小国良成