家族が熱中症になってしまったときの対処法

こんにちは、

神戸市北区にあります小国整骨院の小国です。

夏に向けて益々暑さが厳しくなっていきます。

6月から電気料金の値上げによりエアコンを使うのも例年以上にためらう方も多いのではないでしょうか?

そんな中、気を付けたいのが熱中症です。

今回は、家族や友人などが目の前で熱中症になってしまったときの対処法について詳しくお伝えいたします。

熱中症の兆候を見逃さない

まずは、熱中症の兆候を早期に発見することが重要です。

以下の症状が見られたら、すぐに対処を始めましょう。

  • 強いめまいや頭痛
  • 吐き気や嘔吐
  • 異常な発汗、またはまったく汗をかかない
  • 体温の上昇(39度以上)
  • 皮膚が赤く、熱を帯びている
  • 意識の混乱や集中力の低下
  • 筋肉のけいれん

これらの症状が見られた場合は、すぐに行動を開始する必要があります。

1.意識の確認

まずは、意識があるか確認しましょう。

意識がない場合はすぐに救急車を呼びましょう(6を参照)

2. 涼しい場所に移動させる

熱中症の疑いがある家族を涼しい場所に移動させます。

エアコンの効いた室内や日陰が理想的です。

移動させる際には、体を優しく支えてあげましょう。

特に意識がもうろうとしている場合は、慎重に扱うことが重要です。

3. 服を緩める

涼しい場所に移動させた後は、服を緩めて身体の熱を逃がしやすくします。

シャツのボタンを外し、ベルトを緩め、靴を脱がせるなどして、できるだけ快適な状態にしてあげましょう。

4. 水分補給をする

急に大量の水を飲ませるのではなく、少しずつゆっくりと飲ませることが大切です。

意識がない場合は無理に飲ませない。

可能であれば、経口補水薬やスポーツドリンクなどの電解質を含む飲み物を選びましょう。

これにより、失われた塩分やミネラルを補給できます。

家や職場などに経口補水薬は常備していると安心ですね。

5. 身体を冷やす

熱中症の応急処置として最も基本的なのは、体を冷やすことです。

一般的には、「三大局所冷却」と呼ばれる前頸部(首の前面の左右)、腋窩部(両脇の下)、鼠径部(脚の付け根の前面)があります。

これらの部位に氷嚢などを押し当てて冷やすことが日本では推奨されます。

また、手のひらや足裏を冷やすのも効果が期待できます。

冷えたペットボトルを手に握るなどの方法でこの血管を冷やすと、全身の冷却に役立ちます。(冷やし過ぎは注意)

 

自宅で少し気分が悪く熱中症かもしれない程度の軽症であれば上記の方法でも構わないと思いますが、

炎天下の元、屋外での運動や作業中におこる労作性熱中症では下記の方法をお勧めします。

 

 

●「労作性熱中症」には、大きく4種類あります。

(1)熱失神:運動を止めた直後や長時間立っていたとき等に、血圧が急に下がりふらつく

(2)運動誘発性筋けいれん: 足がつってしまうような状態

(3)熱疲労:運動が継続できない状態(倦怠感、口の渇き、めまい、頭痛、いらだち)

(4)労作性熱射病: 命に関わる40.5℃を超える高体温、意識障害が起こることも

③は医療機関への受診が推奨。
④になるとすぐに体を冷やし、救急搬送が必要になります。

深部体温が40.5度を超えると、30分で臓器へのダメージが出始めます。

医療従事者が不在の環境では深部体温の測定は困難であることから、

意識障害などの症状が出た時点から30分以内に冷却をスタートして、

一刻も早く深部体温を39度台に下げることが、何よりも重要です。

 

体を冷やす効果は「アイスバス(氷風呂)」が最大!

 

アイスバス

日常的な熱中症対応としてよく行われる“氷のうを脇に挟む”といった方法は効果が少ない一方で、全身を氷水につける方法が最も冷却できると分かっています。

水は空気よりも“熱伝導率”が高いため、日陰で扇風機に当たる方法などと比べ効果的に冷却できます。

ポイントを整理すると、なるべく早く全身を冷やすコツは…「なるべく体の広い範囲を、なるべく冷たい水につける」

 

冷却効果が最大のアイスバスとは、どのようなものか?
<手順とポイント>
■用意するのは、①空気で膨らませるタイプのプール ②水をひくホース ③大量の氷。

■水は事前にためておき、傷病者が出れば氷を入れてすぐに使えるよう準備する。

■傷病者が出たらメッシュタイプの担架に乗せ、そのままアイスバスに入れる。

■わきの下にタオルを挟み、顔まで沈み込まないようにする。

■傷病者を入れると体の周りから水温が上がるため、水をかき混ぜたり、氷を追加したりして冷たさを保つ。

■傷病者の様子や対応の経過はなるべく記録し、救急隊が到着したら情報共有を行う。

アイスバスは高い冷却効果がありますが、難しさもあります。

設備を整えるハードルに加え、体を冷やしすぎる“過冷却”のおそれもあるため、本来は「直腸温度計」を用いて深部体温を測りながら行うなど、専門性を持った人が行う必要があります。

アメリカでは多くの高校でアイスバスの導入が進んでいますが、「アスレティックトレーナー」が学校に配置されていることも背景にあります。

アイスバスを準備するのが難しい場合も、今すぐ現場で実践でき、効果も高い方法が「アイスタオル法」です。

 

アイスタオル法

<手順とポイント>

■用意するのは ①薄手のタオル5~6枚 ②氷水をはったバケツやクーラーボックス。

■傷病者が出たら、冷水に浸したタオルを全身にかける。

■このとき、タオルはしぼりすぎない。“冷水を身体に移動するイメージ”で。

■1~2分でタオルがぬるくなるため、再度氷水につけて冷たくする。ほとんど絶え間なく交換しているイメージ。

■少なくとも10分以上、救急隊に引き渡すまで継続する。

■その際、何分続けたか、症状の推移も伝えられるとよい。

 

NHK みんなでプラス#学校教育を考える熱中症になったら…「アイスバス」「アイスタオル」重症化を防ぐ対策を解説より)

6. 医療機関に連絡する

症状が重い場合や改善が見られない場合は、すぐに医療機関に連絡することが必要です。

救急車を呼ぶ際には、正確な症状や状況を伝え、指示を仰ぎましょう。

また、救急車が到着するまでの間、先述の対処法を継続し、できるだけ体温を下げるよう努めます。

7. 安静にさせる

一度症状が改善しても、完全に回復するまで安静にさせることが大切です。

体力が戻るまで数日間は無理をさせず、特に暑い時間帯の外出や激しい運動は避けるようにしましょう。

適切な休息と栄養補給が回復を早めます。

日常生活での予防策

熱中症を未然に防ぐために、日常生活でできる対策も確認しておきましょう。

  • 定期的な水分補給: 喉が渇く前にこまめに水を飲む習慣をつけましょう。特に高齢者や子供は、自分から水分補給を忘れがちなので、周囲の人が気を配ることが大切です。

  • 適切な服装: 通気性が良く、吸湿性のある素材の服を選びましょう。帽子や日傘を使うことで直射日光を避けることも有効です。

  • 適度な休憩: 暑い中での活動は、定期的に休憩を挟むようにします。特に屋外での作業や運動をする場合は、涼しい場所で休むことを心がけましょう。

  • バランスの取れた食事: 食事からも水分やミネラルを摂ることができます。特に夏野菜や果物は水分が多く、栄養も豊富です。

まとめ

家族や友人など身近な人が

自宅や学校、職場、レジャー先で熱中症になってしまうことは起こりうることです!

冷静に迅速に適切な対処が必要です。

涼しい場所への移動、服を緩める、水分補給、身体を冷やす、医療機関への連絡、そして安静にさせることが重要なステップです。

また、日常生活での予防策を実践することで、熱中症のリスクを大幅に減らすことができます。

皆さんが安心して夏を過ごせるよう、これらの対策をぜひ覚えておいて、

もしもの時に備えて参考にしていただければ幸いです。

監修:柔道整復師 小國良成