腰痛の陰に潜む内臓トラブル、その見分け方とは
こんにちは。神戸市北区にあります小国整骨院の小國です。
「最近、背中が張ってしんどい」
「腰のあたりがずっと重たい感じがする」
このような訴えで来院される方はとても多いです。
多くの方は「長時間の同じ姿勢で腰や背中が張っているのかな?」と思われるのですが、
実は内臓の不調が原因となって腰や背中に張りが出ることもあります。
今回はその関係について、お伝えしたいと思います。
背中や腰と内臓はつながっている
人間の体は「骨格・筋肉」と「内臓」が別々に存在しているように見えますが、神経を通じてしっかりとつながっています。
だから、内臓が疲れてくると、その情報は脊髄を介して体の表面にまで影響を与えます。
特に、背骨の周りからは多くの神経が出ているため、内臓のストレスが背中や腰の筋肉の緊張として現れやすいのです。
これを「体性内臓反射(たいせいないぞうはんしゃ)」と呼び、整形外科や整体の世界では広く知られています。
どの内臓がどこに影響するの?
実際に、どの内臓の不調がどのあたりに張りや痛みとして出やすいかをご紹介します。
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胃の不調
胃もたれや胃炎などでは、左の肩甲骨の内側から背中にかけて張りを感じやすいです。 -
肝臓・胆のうの不調
脂っこい食事や甘いものの摂りすぎ、お酒の飲みすぎで負担がかかると、右の背中や肩のあたりが重くなることがあります。 -
腎臓の不調
腎臓は腰の奥にあるため、不調があると腰の両側や背中の下部に鈍い痛みや張りを感じることがあります。 -
腸の不調(便秘・下痢など)
下腹部に近い腰回りや骨盤まわりに張りが出やすくなります。
なぜ筋肉が張るのか?
では、どうして内臓の不調が「張り」として出るのでしょうか?
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自律神経の働き
内臓を調整する自律神経と、背中の筋肉を支配する神経は脊髄でつながっています。
そのため、胃腸や肝臓に負担がかかると、反射的に背中の筋肉も緊張してしまいます。
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血流の低下
消化器系が弱って血流が滞ると、周囲の筋肉にも血が届きにくくなり、こりやすくなります。 -
防御反応
内臓を守ろうと体が無意識に筋肉を硬くすることがあります。
たとえばお腹が痛いときに体を丸めるのも同じ原理です。
日常生活でのサイン
内臓の不調が原因の張りは、単なる肩こりや腰痛と少し違う特徴があります。
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張りが「左右どちらか」に偏っている
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姿勢や運動で楽になりにくい
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胃腸の調子が悪い時期と重なる
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疲れやすさや食欲不振を伴う
こうしたサインがある場合、単なる筋肉疲労よりも内臓からのSOSである可能性が高いです。
生活習慣がカギ
内臓が疲れる原因は、普段の生活に潜んでいます。
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夜遅い食事や食べすぎ
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お酒や脂っこいもの、甘いもののとりすぎ
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冷たい物のとりすぎ
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睡眠不足やストレス
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運動不足
これらが続くと、内臓に負担がかかり、背中や腰にサインが出やすくなります。
整骨院でできること
整骨院では内臓そのものを治療するわけではありません。
しかし、体の歪みや筋肉の緊張を整えることで、内臓が働きやすい環境をつくることができます。
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姿勢を整えて内臓への負担を減らす
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自律神経を整えて消化や代謝を助ける
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硬くなった背中や腰をゆるめて血流をよくする
その結果「背中が楽になったら胃の調子も良くなった」「便通がスムーズになった」と感じられる方もいらっしゃいます。
おうちでできるセルフケア
日常生活のちょっとした工夫で、内臓からくる背中や腰の張りをやわらげられます。
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深呼吸(腹式呼吸)をする → 横隔膜が動き、内臓の血流もよくなります。副交感神経を働きやすくする。
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お腹や腰を温める → 冷えをとって内臓の働きを助けます
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夜遅い食事やお酒は控えめに → 胃腸の休息時間を確保できます
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軽い運動を習慣に → 血流がよくなり、内臓も元気になります
まとめ
背中や腰の張りは、必ずしも「姿勢」や「筋肉の疲れ」だけが原因ではありません。
内臓の不調がサインとして背中や腰に現れることも多いのです。
もし「なかなか治らない張り」や「いつも同じ場所が重たい」といった症状が続くようであれば、体の奥からのメッセージかもしれません。
生活習慣を整えながら、必要であれば専門家に相談することをおすすめします。
監修:柔道整復師 小國良成