腕の痛み、しびれ(胸郭出口症候群)

肩凝りを訴えてご来院される中で詳しくお話を伺うと

肩胛骨周辺の鈍痛や腕の鈍痛やしびれを訴える方がいらっしゃいます。

これは、胸郭出口症候群かもしれません!

胸郭出口症候群とは?

首から腕や手(上肢)を動かすための腕神経叢(神経の束)が腕に向かって伸びていく中、

所々で狭い場所(トンネル)があり神経を絞扼(圧迫)してしまうことがあります。

すると、腕や肩胛骨の周辺でしびれたり鈍痛を感じたりします。

症状は、腕の位置によつて変わります。

神経が絞扼される場所(トンネル)

①斜角筋隙前斜角筋と中斜角筋と第1肋骨で囲まれているトンネルを腕神経叢、鎖骨下動脈が通る

デスクワークなどで首の疲労が溜まってくると前斜角筋、中斜角筋の緊張が強くなってくると

筋の間が狭くなり、底面の第1肋骨も持ち上げられて狭くなり腕神経叢や鎖骨下動脈が絞扼されうでや肩胛骨周辺にしびれや鈍痛がおこる。

 

 

肋鎖間隙

斜角筋隙を通過した腕神経叢と鎖骨下動脈は肋鎖間隙というトンネルを通過する

鎖骨と第1肋骨で構成された骨製のトンネルです。

物を持つなど鎖骨が下がると腕神経叢と鎖骨下動脈それと鎖骨下静脈も圧迫され腕に鈍痛やしびれがおこる。

 

 

小胸筋下間隙

最後のトンネルが小胸筋下間隙です。

小胸筋の下を腕神経叢と鎖骨下動、静脈が通過して上肢へと続いていきますが、手を上げた時に小胸筋下間隙を支点にして腕神経叢と鎖骨下動、静脈はその走行を変えます。そのため腕神経叢と鎖骨下動、静脈が牽引力がかかりしびれや鈍痛を起こします(過外転症候群)

つり革を持ってると腕がしびれたり鈍痛がおこる。

図は、<運動器疾患の「なぜ」がわかる臨床解剖学>より

姿勢との関連

●いかり肩

いかり肩は男性に多く

肩が上がり、後方に引かれ胸を張った姿勢です。

そうなると肩から首の筋肉の緊張が強くなります。

すると斜角筋の緊張も強くなり①斜角筋隙で腕神経叢と鎖骨下動脈が絞扼されることがあります。

●なで肩

なで肩は女性に多く

首や肩の筋肉があまり発達しておらず肩が重力に負けて下がっている状態です。

すると鎖骨も下がり②肋鎖間隙で絞扼されることがあります。

検査

まずは、検査をしてどこで絞扼されているかを調べることです.

アドソンテスト(斜角筋隙のテスト)

腕のしびれや鈍痛のある側に顔を向けて、そのまま首を反らせ、深呼吸を行うと

鎖骨下動脈が圧迫され、手首のところのの脈(橈骨動脈)が弱くなるか触れなくなります。(陽性)

 

エデンテスト(肋鎖間隙のテスト)

座位で胸を張らせ、両肩を後下方に引かせると、

手首のところの脈(橈骨動脈)の脈が弱くなるか触れなくなります(陽性)

 

ライトテスト(小胸筋下間隙のテスト)

座位で両肩関節90度横から上げ(外転)、肘90度曲げ(屈曲)、90度後ろに捻じる(外旋)と、

手首のところの橈骨動脈の脈が弱くなるか触れなくなり、手の血行がなくなり白くなります(陽性)

治療と対策

斜角筋隙で絞扼される場合

いかり肩のように腕や首の周り、肩胛骨周辺に背部の筋の緊張が強いためゆるめることからアプローチしていきます。

肋鎖間隙で絞扼される場合

肩甲骨を上げてやると症状が改善することが多いです。

たすき掛けなど有効です。

小胸筋下間隙で絞扼される場合

肩甲骨の可動性改善や使い方として腕を体側より前で使う

 

当院の治療について